はじめに
関東平野の北西端、赤城山南麓に位置して市内には利根川と廣瀬川が流れています。そのため伏流水による水質の良さで知られ、中心部で供給される水道水は一部地下水が使われていると言われています。
前橋はかつての藩政の名残をとどめ、城郭はほとんど残存していませんが城下町の風情が感じられる都市です。中心市街地再活性化が急務という懸案を抱えながらも、地域経済圏を高崎と2分しながら実質的な人口密度では優位性を保っているところです。
内陸性気候を呈し寒暖の差が激しい地方で、冬の北西からの季節風は「上州のからっ風」と呼ばれ、この乾燥した季節風の影響で晴天が多い日が続きます。
自動車の保有率全国1位という車社会を背景に、群馬の県民性に合わせた生活の利便性を考慮して、敷地内の駐車台数は計画戸数を上回り、さらに近隣にサイドパーキングを設定して駐車率のさらなる充足を達成しています。
全体計画
閑静な住宅街の角地で、幅員約6mの道路が南側に、また幅員約4m道路が北西側に接しています。鉄筋コンクリート造10階建で、住戸のバルコニーは全て南西面を向いています。敷地周辺は戸建て住宅と事業所、また診療所等が立ち並ぶ町並みで、子供達が集う「なかよし公園」も間近にあります。
エントランスと駐車場と駐輪場への動線は完全に歩車道分離しています。
敷地の北東側にはピット式3段の機械式駐車場施設が設置されています。入庫時のパレットの操作音は、駐車施設が住棟の北東面の外廊下に面しているので各住戸内への音の伝播が軽減されます。またピット式ですので地下に納車の部分も多く外観的に威圧感が少なく近隣にもやさしい設計と思われます。駐車場は敷地内分で約103%(来客用1台を含む)の設置率です。それに加えて近所にサイドパーキングとして計27台分の駐車スペースが設けられています。
建物は永住型に対応するため、「スケルトン・インフィル」(躯体構造と間仕切り及び設備を分離した考え方の工法)が採用されていて、住戸外集中型竪配管を採用しているため将来の家族構成の変化等で間取りの変更をする際、妨げる室内の竪配管はありません。
床下は約270mmのスペースを確保することで、室外排水管までの横配管が可能です。このため、キッチン・浴室・洗面・トイレまでも「床組先行工法」(床を先に施工して、その上に間仕切り壁を立てる工法)を採用して自由な変更が可能となっています。
コンクリートの品質は約100年の耐久性と強度を目指したコンクリートを使用し、外壁はダブル配筋、柱の帯筋はらせん状に連続した接続箇所の少ないスパイラル筋が採用されていて、建物に強度と粘りを与えています。
建物全体の品質については、国が定める第三者機関が設計・工事検査・書類等を精査した上で適正かどうかを認定する「設計住宅性能評価書」を取得していて、竣工後に「建設住宅評価書」を取得予定です。
住宅性能表示制度の劣化対策では、躯体部分の3世代(75~90年)の耐久性を認める住宅性能評価の最高等級「劣化対策等級3」を取得しています。また建築基準法に定める耐震規準の1.25倍の耐震性を有する「耐震等級2」を取得していて、災害時に避難場所としての役割を果たす学校や病院と同等レベルの設計となっています。そして住戸外集中配管によるメンテナンスの容易さ等で「維持管理対策等級3」も取得していて、品質レベルは高く安心感があります。
またアウトフレーム工法が採用されており、居室内の隅部に柱型が出ないので家具等の配置の際にはすっきりと納まります。
サッシは防音性能T-1(TS-25)等級で断熱性に優れ結露を防ぐ、ペアガラスが採用されています。
管理及びセキュリティーについては、管理員は週5日、一日5時間の勤務体制です。人的管理に加えてセコム・コントロールセンターによる、各住戸と共用部分の火災などの異常を察知する「24時間365日の常時監視システム」が採用されていて、エレベーターやエントランスなど敷地内の各所に防犯カメラを設置しています。
全住戸の居室窓と玄関扉には防犯センサーを設置していて、また住戸の玄関ドアにはダブルロックのリバーシブルディンプルキー、ピッキング対策に有効な防犯サムターン・鎌式デッドボルト錠などが採用されており防犯対策にも配慮しています。
まとめ
上毛電気鉄道線「城東」駅より徒歩約5分、同線の始発駅、「中央前橋」駅より徒歩約5分、JR両毛線「前橋」駅より徒歩約16分の距離の閑静な住宅街に立地しています。
また商都のJR「高崎」まで両毛線で(全列車が新前橋駅から上越線に乗り入れて高崎駅まで運転している)わずか約13分という近さなので、東京方面への新幹線を利用しての、ショッピングに、また通勤等にと便利なアクセス環境にあります。
県都としての風格と教育・文化・医療施設、金融機関等の地域充実に加えて、萩原朔太郎を始めとする詩人を輩出する文化風土と広瀬川の清流が街中をめぐる水の都にあって、悠久の時間の流れに沿うように、 100年の住まいを目指したしっかりとした構造躯体をベースに、特に生活収納の豊富さ、また設備面での維持管理等に配慮されたマンションという印象を受けました。

一級建築士:久我 高廣
組織設計事務所勤務後、設計事務所を20年間経営。プロダクトからインテリア、住宅設計、また商業施設、都市再開発等のプロジェクトの調査、企画、設計のコンサルティングを手がける一級建築士


